エコキュートとは?
こんにちは。稲冨設備株式会社です。
12月も半ばに入り一気に寒くなってきましたね。
年末に向かって何かと慌ただしい時期ですが、皆さま体調管理には十分お気を付けくださいね。
さて今回のブログは家庭用給湯システム「エコキュート」についてです。
普段何気なく使っているけれど、お湯を沸かす給湯システムについてあまり詳しくは知らない、という方も多いのではないでしょうか。
今回はそのエコキュートについて少しお話したいと思います。
エコキュートとは
エコキュートとは、電気エネルギーと空気の熱を利用して効率よくお湯を沸かす「ヒートポンプ式」の家庭用給湯システムのことです。
エコキュートはお湯を沸かす際に、大気の熱エネルギー2に対して電気エネルギーは1の割合しか使わないので、電気エネルギーだけで沸かす場合と比べて電力消費量を約1/3に抑えられます。
エアコンの室外機に似た形の「ヒートポンプユニット」と沸かしたお湯を貯めておく「貯湯ユニット」で構成されています。
ヒートポンプユニット 貯湯ユニット
参考画像:三菱エコキュート
エコキュートの仕組み
エコキュートは、次のような仕組みでお湯を作ります。
画像引用:三菱エコキュート エコキュートとは? | はじめてのエコキュート | 三菱 エコキュート | 三菱電機
① ファンを回転させ空気の熱をヒートポンプユニット内、空気側の熱交換器の冷媒(CO₂)が取り込みます。
② 取り込まれた熱がヒートポンプ内のコンプレッサーで圧縮され約90℃の高温になります。
③ 高温になった冷媒(CO₂)は、ヒートポンプ内の水加熱側の熱交換器で水に熱を伝えてお湯をつくります。
④ 水加熱側の熱交換器で熱を奪われた冷媒(CO₂)は膨張弁に運ばれて、低温になります。
⑤ お湯を貯湯ユニットに貯めて、設定温度になるよう水を混ぜ、お風呂や台所、洗面などで使えるようにします。
空気中の熱を汲み上げるという意味でヒートポンプ式と呼ばれています。この仕組みは通常の電熱機器などより3~5倍ほど発熱効率が良いと言われています。しかし空気中の熱を利用するため外気温が下がると能率は低下し、貯水中に熱のロスも発生するため他の熱源と比較するとコスト面でのメリットが低下する場合もあります。
エコキュートを設置する前に
エコキュートを設置する前に、メリットとデメリットの両方をきちんと把握されることをおすすめします。
エコキュートを設置して良かった!という声もある一方で、逆に後悔するというケースもあるようです。メリットとデメリットをしっかり確認し、ご自身やご家族さまの生活環境に合わせて最適な給湯機器を選びましょう。
エコキュートのメリット
メリット① 光熱費が安くなる
エコキュートでは、お湯を温めるために電気は使いません。電気は主に空気の取り込み、ヒートポンプ内の冷媒の圧縮・膨張のために使います。取り込んだ大気の熱をコンプレッサーで圧縮し少ない電力でお湯を作ります。
この仕組みによる熱交換のエネルギー効率は非常に高く、使う電気のエネルギーに対して3倍以上の熱のエネルギーを生み出すことができると言われています。
さらに料金が安い夜間の時間帯に動くので電気代も抑えられます。
使うお湯の量やお住まいの地域によっても変わってきますが、お湯を作るためのランニングコストはガス給湯器と比べ、1/3から1/4程度に節約できると言われています。
多くの電力を使う昼間の時間帯は電気を使わず電力使用量の少ない夜間に運転するため、昼間の電力需要を夜間の時間帯に移行させるピークシフトにも貢献します。
「電気料金が安い深夜に、少ない電力でたくさんのお湯をつくり、保温性の高いタンクに貯めておく」
これがエコキュートにすると電気代がお得になると言われている理由です。
メリット② 停電・断水の時にタンク内のお湯(水)が使える
エコキュートの仕組み上、タンクの中は常にお湯または水が貯められた状態になっています。このお湯は、いざというときの生活用水としても使うことができます。
万が一の災害時にエコキュートの貯湯タンク内にお湯が残っていれば、断水時にも備え付けの非常用水栓からお湯を取り出すことができます。(飲料水としての使用はできません)
メリット③ 火災のリスクが軽減される
電気を使用するエコキュートでは、火災のリスクが格段に低くなります。
ガス給湯器の最も大きな欠点は、ガス漏れの危険があることです。場合によっては火災や爆発の原因になります。
ガスを使用しないエコキュートはガス漏れの危険がないため安全面においてもおすすめです。
メリット④ 環境に優しい
再生が可能な大気中の熱を使ってお湯をつくるので、環境にやさしく、地球温暖化を防ぐためにも貢献できます。
また、HEMS(Home Energy Management System ホーム エネルギー マネジメント システム)に対応しているため、電気の使用量をモニター画面などで見える化し、家庭で使うエネルギーを節約するための管理ができます。
電気代節約や災害対策などのメリットの多いエコキュートですが、デメリットがないわけではありません。
そこで従来の給湯器と比べた場合に考えられる、デメリットについてもご紹介します。
エコキュートのデメリット
デメリット① 設置費用が高い
エコキュートのデメリットとしてまず考えられるのが導入時の設置費用の高さです。省エネ性能が高いだけに、ガス給湯器や石油給湯器と比較して機器本体の価格が、かなり高くなっています。ただし、導入後の光熱費を大幅に削減することができるほか、リースサービスの利用などで初期費用を軽減させることは可能です。
エコキュートの設置を検討する際には、使用時のランニングコストと設置のための初期費用を含めたトータルコストを考えることが大切です。
デメリット② 設置スペースが必要
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されており、設置のためにはスペースが必要になります。
最初にエコキュートを設置する際は問題がなくても「境界線ギリギリに新たに住宅が建築された」などの理由から、エコキュートの点検・修理などのメンテナンスに必要な作業スペースや、交換・撤去のための経路がとれないという可能性もあります。そのため設置後のメンテナンス作業のことも考慮してスペースを確保する必要があります。
また、東日本大震災では地震の揺れにより貯湯タンクが倒れてしまった、というケースもあり、エコキュートの貯湯タンクを設置する場所のコンクリート基礎の大きさの基準も変わってきています。
エコキュートを設置する場合は、余裕をもったスペースに設置することをおすすめします。
デメリット③ 湯切れの心配がある
エコキュートは貯湯タンクに貯まっているお湯に水を混ぜて温度調整をし、キッチン・洗面・お風呂などの各水栓に給湯しますが、商品の特性上、貯湯タンク内のお湯が無くなってしまうと水しか出なくなってしまいます。
一度水になってしまったものを温めるためにはかなり時間がかかります。ご家族が多いなどたくさんのお湯を使う可能性がある場合は、容量の大きいタンクを選んだり湯切れを防ぐ機能がある機種を選んだりなど、導入前に検討しておく必要があるでしょう。
また、急な来客などでお湯を使う量が普段よりも増える場合なども湯切れの可能性がありますので、電気代は高くなりますが昼間に沸き増しをするなど湯切れを起こさないように注意が必要です。
デメリット④ 水圧が弱くなる
ガス給湯器は直圧式の給湯器のため水道の水圧に近い水圧のお湯を出せますが、エコキュートは貯湯式の機器のため、ガス給湯器と比較して水圧が弱くなります。水道の圧力にもよりますが、一般的な水道水では500KPa程度の水圧があり、貯湯タンク内の耐圧に耐えるために通常のエコキュートの場合で190KPa程度まで減圧されます。高圧力タイプの場合でも290KPa~360KPa程度まで減圧されます。そのため、ガス給湯器と比べるとエコキュートではシャワーの水圧が弱くなってしまいます。
水圧が気になる方は、給湯圧力がより強いタイプや水道直圧タイプのエコキュートを選ぶなど、事前に検討することをおすすめします。
デメリット⑤ 飲用できない
エコキュートの貯湯タンク内のお湯は日々入れ替わっていますが、飲料には適していません。
タンク内のお湯は空気に触れず高温に沸き上げられていますので、ほぼ滅菌状態にはなっているものの、長期の利用で水道水の中に含まれる不純物が、エコキュートの貯湯タンク内に付着や沈殿している可能性があり、各メーカーともエコキュートで作られたお湯は飲用不可としています。
まとめ
省エネで電気代が節約できると言われているエコキュートについて、様々な角度からご紹介してみました。
光熱費を抑えることが出来るだけではなく、環境性能にも優れ、万が一の災害時にも貯湯タンク内のお湯が使える、といったメリットもありますが、ガス給湯器や石油給湯器と比べると初期費用が高く掛かってしまい、さらにはお湯切れの心配やシャワーの水圧が弱いなどのデメリットもあることがわかりましたね。高い費用を払って後で後悔しないようにエコキュートのメリットとデメリットをしっかり確認し、ご自身やご家族さまの生活環境に合わせて最適な給湯機器を選びましょう。
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